1月のこの時期になるとセールも終盤戦で在庫も少なくなり、サイズ切れが出てくるのは当然である。

我々は店頭在庫を把握し、お客様のニーズを探りつつ体型に合わせた商品を提案していく。
これも1つのフィッティングである。

フィッティング(fitting)の定義は

1 調整。整備。

2 (仮縫いの)着付け。寸法合わせ。


という意味ではあるが、大まかにはお客様の体型に商品を合わせる(fit)こと全般に使える言葉として考えても良いでしょう。

アパレルの世界では様々なフィッティングが存在する。

まずお客様に商品をfitさせる基本的な能力で必要なのは「目寸法」である。

目で見てお客様の体型を把握して、客様におおよその近似値の既製服のサイズを提案していく。

これが出来ないと話しにならない為、販売スタッフは自店の商品を試着することで体で商品のサイズ感や型紙を覚え、ほとんどの人は実際の販売経験をすることで目寸法の精度を養っていく。

しかしながら、人間の体型というものは既製服のサイズ選びだけでは解決するものではなく、特にスーツなどは様々な補正が発生する。

ウエストサイズや袖の長さなど様々な既製服の補正、これもある程度の現場経験を経て、お客様によりフィットする補正を縫製修理工場に指示する。

これもフィッティングと言えよう。


お客様にとって,もっとも"only one"のフィッティングと言えばビスポークではないだろうか。


私達が仕立てる服はsur mesure(カスタムメイド)ですので当然こうしたお客様の体型に合う服を作ります。

ただ作っていく際、『バストが⚪︎⚪︎cmだから』というように数字を追うのではなく、まず表現したい身体の形をデッサンし、どうしたらその形に型紙がなるかをイメージしていきます。

自分の頭の中では数字の意識はなく、あくまでフォルムをそんな意識で作っています。

フォルムが出来上がった後、そこに数字をあてはめることでお客様一人一人に合った服が出来上がります。

そうして出来上がった型紙をもとに生地をカットしていきますが、無地の生地とチェックなど柄物とでは仕立て方が異なります。

KENJIRO SUZUKI sur mesure PARIS 鈴木健次郎 公式Fbページより


出典:https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1055035194516849&id=298608853492824&ref=bookmarks

こちらはパリに在住しているテーラー鈴木健次郎氏の公式FBからなのですが、彼はお客様の体型の特徴を立体でとらえ、平面のパーツをイメージしての型紙を制作し、再度立体の洋服に構築していくという作業を一人一人のお客様にしていきます。
こんな体の一部を作るような、究極のフィッティングもある。

1月8日の東洋経済onlineで面白い記事を見つけた。

『究極のスーツを作る仕立屋の「秘密兵器」』
http://toyokeizai.net/articles/-/99718?display=b

というタイトルで香港の仕立て屋が3Dスキャナーを使って、瞬時に120カ所の寸法を計ってしまうという技術革新の話しである。

品質とスピードで有名な香港の仕立て屋事情にとっては有効な方法手段である。

時代と共にフィッティングも技術革新しているとも言える。

時には記憶と機転、目寸法、採寸しての補正、職人技のビスポーク、採寸の技術革新などそれ以外でも様々なフィッティングというものが存在する。

フィッティングを通して、商品や生地は初めてお客様の「衣」という一部になり、破棄されるまで、お客様の"幸服"としてあり続ける。

そんな感じですかねぇ〜♪

フィッティングに関して"オチ"も考えずに書き始めたので3日間も悩む羽目に…(笑)

ブログを御覧になったアパレル関係者の皆様へ、もし何か落とし所の良い意見がありましたら、加筆、修正致します意見して下さい。

さて、改めて貴方にとって"フィッティング"とは何ですか?

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