2月も最後の1週間を残すのみとなり、暖ったり、寒かったりと、ちょうど春を待つ三寒四温の時季である。

アパレル業界では冬から春の端境期にあたり、なかなか商品が動かない時期でもある。

今年も期待していた、2月7日からの春節での中国人のお客様の「爆買い」もバブル崩壊のせいなのか、いまひとつの状況であった。

中国のお客様を接客して、よく聞かれることは生産地のことである。

もちろん日本製を求めてはいるものの、国内の全衣料品の内3%しか日本製が無いのが事実であり、彼らもそれを薄々感じているようで、結局のところ生産地よりもデザイン重視でお買い求めになられる。

例えそれが母国の「made in china」だとしても、
苦笑いしながらも買ってくれる。
実は話しを聞くと、中国で洋服を買うと2割位高く、デザインも良くないらしい。

次に聞かれるのは何でしょうか?

日本では「チャック」、アメリカでは「ジッパー」中国では「ラーリェン」、そう「ファスナー」のことについてである。

もちろん「この商品のファスナーはYKKであるか?」という確認でもあり、YKKのファスナーを使っていることは彼らにとっては信頼出来る商品の証でもあるのだ。

身の周りの洋服やバッグなど、生活のあらゆる所にファスナーは使われている。
なんと!その内YKKのファスナーは国内では95%、世界の45%のシェアを誇っているのだ。

そもそもYKKてどんな会社? wikpediaを見れば分かるのだが簡単に説明すると

YKKは1934年1月、東京は東日本橋からスタートした日本の金属加工会社で、その社名は旧社名である吉田工業株式会社(Yoshida Kogyo Kabushikigaisha)の頭文字である。

1950年にアメリカから大規模生産機械を導入し、それまで品質にバラつきがあった手作業でのジッパー生産をオートメーション化したことで、質が安定、数も大量に生産できるようになり、これがファスナー事業の大きな転機となりなりました。

現在、衣料品では ルイ・ヴィトン、グッチのような高級ブランドから、リーバイス、ナイキ、アディダスといったカジュアルブランド、ユニクロのようなファストファッションに至る迄、YKKのファスナーは幅広いブランドで利用されています。

YKKが如何に信頼あるファスナーを提供しているかの例え話をしましょう♪

ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドはYKKのファスナーを使ってていても、自社の刻印を入れるのであるが、それはすべての部分で製品の性能上信頼を得ているからである。

高級ブランドでは無いが知名度の高さと、製品の耐久性が高いというユニクロもYKKファスナーに自社の刻印を入れることが以前検討されたが、それは実施されなかった。

つまり一般的な購買者から見てYKKの刻印の方がファスナーの機能上の信頼を得ていると判断したのでしょう。

また、アメリカのアウトドアウェアのカタログをみると、"YKK zipper" を使用しているというのが、重要なアピールポイントになっている。

何故なら、厳しい自然環境のなかでのファスナーの不具合は生命の危険に関わるからである。それだけYKKのファスナーが性能と信頼性に置いて世界から評価されているということなのである。

ところで何故このような、独占状態がキープ出来ているのだろうか?

実はファスナーとは1200もの要素技術の集合体であると言われていて、ファスナーの技術集団の先駆者YKKグループはそれらを特許権でしっかり守っているのです。

これは憶測ですが、他社がファスナー事業に参入してYKKレベルのファスナーを制作しても、それは必ずYKKの特許に引っかかるということでしょう。

単価の安いファスナーにその為に特許使用料を払うことや、特許侵害で訴えらるリスクは避ける為、必然的に独占状態になるのでしょう。

恐るべし、YKKの企業戦略ですよね♪
ただしそれはあくまで技術を持っているから出来る事なんですよ!

そういえば最近では特許使用料とか特許侵害の話はTBSのドラマ「下町ロケット」が記憶に新しいですけどね♪

先日、面白い記事を見つけた。「販売90億本のYKK猿丸社長のコメントから探る 2016年世界アパレル産業予想図」と言うタイトルでファスナーの需要の傾向から、世界のアパレル産業の動向を探るという話である。

「一芸は道に通ずる」ファスナー産業という世界を追求し、需要を独占しているYKKだからこそ見える世界であり、分析である。

間違いなく、YKKは日本が誇るクールジャパンと言えるでしょう。


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ジャドソン氏が開発した現在のファスナーの原型「The Original」





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